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作成日:2025/02/04
中小企業にも求められるカスハラ対策

 

目次
 1. はじめに
 2. カスハラの定義
 3. カスハラの判断基準の一例  
 4. カスハラ対策の基本
 5. 雇用管理上の措置義務の創設(現在検討されている案)
 6. おわりに

 

はじめに


近年、顧客等からの著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント、通称「カスハラ」)が問題になっています。以前の記事でもご紹介した通り、大企業を中心に、カスハラへの対応方針を公表する企業も増えてきています。

先日、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会(2024年12月26日開催)において、カスハラ対策の強化として、雇用管理上の措置をすべての企業に義務付ける案が示されました。 

 この記事では、カスハラ対策のポイントを解説します。

 

カスハラの定義


カスハラ対策をする上で、まずは「カスハラに該当する言動の定義」を定めることが重要です。厚生労働省が2022年に発表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によると、以下のようなものがカスハラであると考えられています。

 
図1 カスタマーハラスメントの定義(出典:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル

 @「クレーム・言動の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例

・企業の提供する商品・サービスに過失が認められない場合

・要求の内容が、企業の提供する商品、サービスの内容とは関係がない場合

 
A「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例

要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの

・身体的な攻撃(暴行、傷害)

・精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言)

・威圧的な言動

・土下座の要求

・継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動

・拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)

・差別的な言動

・性的な言動

・従業員個人への攻撃、要求

(要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの)

・商品交換の要求

・金銭補償の要求

・謝罪の要求(土下座を除く)

 

カスハラの判断基準の一例


企業の業種や業態の違いから、カスハラの判断基準については、企業ごとに違いが出る可能性があります。あらかじめ、判断基準を明確にした上で、社内の考え方、対応方針を統一しておくことが重要です。

 

(例)飲食店の場合

<クレーム・言動の要求の内容の妥当性>

妥当性あり 妥当性なし
 ✓ 虫やゴミなどが商品に混入していた  
 ✓ 客席が汚れていた  
 ✓ オペレーション上の理由で提供順が前後した
 ✓ 顧客が希望する決済方法の取り扱いがなかった  

 

<要求を実現するための手段・態様の相当性>

相当性あり 相当性なし
 ✓ 落ち着いた口調で苦情を言われた 
 ✓ 会社のHPにメールで意見が届いた   

 ✓ 大声で怒鳴り、机を叩いた
 ✓ 10分以上にわたって居座り、文句を言い続けた  

 

 <労働者の就業環境への損害>

損害の程度が小さい 損害の程度が大きい
 ✓ カスハラと因果関係の小さい理由で 
スタッフが退職した 
 

 ✓ スタッフがカスハラによる威圧に恐怖を感じて  
体調不良になり、それが原因で退職した  

 

 

カスハラ対策の基本

カスハラを想定した事前の準備
 


事前準備として、事業主が、組織としてのカスハラ対策への基本方針を明確に示しましょう。カスハラが起きたときに、従業員が相談できるような相談体制の整備(例:相談担当者を決める、窓口を設置する)や、具体的な対応ルールについての従業員を教育することも大切です。

 

  

カスハラが実際に起こった際の対応
 


 暴力や暴言、ハラスメント、個人攻撃、プライバシー侵害があった場合、まずは従業員を危険から隔離することを優先しましょう。一人で対応しないことが重要です。

カスハラに該当するか否かを判断するため、顧客、従業員からの情報をもとに、証拠に基づいた事実確認(例:ヒアリング、防犯カメラの確認)を行います。確認した事実に基づき、会社側に過失がある場合は謝罪が必要です。一方、過失がない場合は、むやみに要求に応じないことも大切です。

 

  *リーフレット「カスタマーハラスメント対策に取り組みましょう!

  

雇用管理上の措置義務の創設(現在検討されている案)


まだ案の段階ですが、現行法に規定されている4種類のハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ・育児や介護に関するハラスメント)の例にならい、カスハラ行為の具体例や、事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容が、今後、指針等において示されることになるでしょう。

 また、カスハラ対策を進めるに当たって、国が中小企業等への支援に取り組むことや、業種・業態により異なるカスハラに対応するため、厚生労働省が消費者庁、警察庁、所管省庁等と連携することも検討されています。

 

出典:雇用環境・均等分科会(第79回)(2024年12月26日)資料

女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について(案)

 

おわりに


カスハラから労働者を保護する必要があるため、今後、カスハラ対策を事業主の雇用管理上の措置義務とすることが検討されています。今後は、中小企業においてもカスハラ対策が必要となってくるでしょう。早めにカスハラへの対応方法を定めておくことをおすすめします。

カスハラをはじめ、職場のハラスメント問題でお悩みの会社様は、「みらいく」にご相談ください。

 


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