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作成日:2024/07/25
【事例紹介】高島屋グループのカスハラ対応方針


昨今、いくつかの大企業がカスタマーハラスメント(カスハラ)に対する方針を一般に公表し、話題を集めています。カスハラに対する対応方針について解説します。

 

 目次
 1.はじめに                               
 2.深刻なカスハラ問題
 3.カスハラに対する対応方針
 4.カスハラ方針対策を示すことの効果
 5.おわりに

 

はじめに


職場におけるハラスメントには、セクハラ、パワハラ、マタハラなど、様々な種類がありますが、接客業等における、顧客や取引先(カスタマー)からの暴力、悪質なクレーム等の著しい迷惑行為は、近年では「カスタマーハラスメント」(カスハラ)と呼ばれるようになっています。先日、鉄道会社のJR、損害保険会社の損保ジャパン、百貨店の高島屋などの大企業が、カスハラに対する方針を公表し、話題となっています。

 

深刻なカスハラ問題


厚生労働省が令和2年に行った「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、全国の企業・団体に勤務する20~64歳の男女労働者のうち、過去3年間に、勤務先でカスタマーハラスメントを経験した者の割合は、15.0%であり、パワハラ(31.3%)よりは回答割合が低いもの の、セクハラ(10.2%)よりも回答割合が高いという結果が出ています。

図1 過去3年間にハラスメントを受けた経験
(出典:令和2年度 厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」)

 

カスハラに対する対応方針


最近では、カスハラに対する対応方針を定め、公表する企業も出てきています。カスハラに対する対応方針は、会社によって記載方法が多少異なるものの、全体的な構成は共通している場合が多いです。

例えば、大手百貨店「高島屋グループ」の「カスタマーハラスメントに対する基本方針」は、以下の内容となっています。出典元の文書から一部を抜粋して紹介します。

出典)高島屋グループニュースリリース:「2024.7.8「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定いたしました

企業の基本方針を宣言しています。

【はじめに】
「当社グループは、2024 年 1 月に「人権コミットメント」を策定し、人権に関する法令遵守の徹底はもとより、すべての人の人権や個性、価値観を尊重する経営を実践することに努めています。一方で、ごく一部のお客様の心無い言動により、職場環境が害される事案が発生しております。お取引先を含む、島屋グループで働くすべての人が、働きがいを感じ、安心して働ける環境を構築するために、本基本方針をお示しします。」

 

 どのような行為がカスハラに当たるかを、厚生労働省のマニュアルを踏まえて定義しています。

【カスタマーハラスメントの定義】
「2022 年 2 月厚生労働省発行の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を踏まえ、『お客様からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が不適切なものであって、当該手段・態様により従業員の就業環境が害されるもの』をカスタマーハラスメントと定義いたします。」


また、具体的な行為も例示しています。


「以下の記載は例示であり、これらに限られるものではありません。                                                                                                          

・お客様による暴力

(中略)

・お客様による威嚇・脅迫行為

・お客様による従業員の人格の否定・差別的な発言

・会社・従業員の信用を棄損させる内容、従業員の個人情報等の SNS 等への投稿                                

土下座の要求 等 」

 

 

それらのハラスメントに対して、どう対応するかを説明しています。

【カスタマーハラスメントへの対応】
・カスタマーハラスメントに関する知識及び対処方法の研修を実施しています。                                     

・カスタマーハラスメントに対する相談窓口を設置しています。

・カスタマーハラスメント発生時の対応体制を構築しています。

・より適切な対応のために、警察、外部の専門家(弁護士など)と連携しています。                              

・合理的な解決に向けて理性的な話し合いを行い、よりよい関係の構築に努めます。

カスタマーハラスメントと当社において判断した際は対応を打ち切り、以降のご来店をお断りする場合があります。

・さらに悪質と判断した場合は、警察、外部の専門家(弁護士など)に連絡の上適切に対処いたします。

 
顧客との信頼関係向上に努めつつも、カスハラには毅然と対応する旨を述べています。

【お客様へのお願い】
「島屋グループは、これからも、お客様のご要望にお応えし、サービスの向上に努めることを通して、お客様との信頼関係を築き上げることを目指しています。

しかしながら、万が一、お客様からカスタマーハラスメントに該当する行為がありましたら、本方針に則って毅然と対応いたしますので、ご理解とご協力をよろしくお願い申しあげます。」

 

 

カスハラ対策方針を示すことの効果


カスハラ対策方針を社内外に示すことで、会社が従業員をカスハラから守るという意思を表明できます。従業員にとっては、安心して働けるというメッセージにもなるでしょう。また、カスハラを行う者に対して、一定の抑止力となることも期待されます。

おわりに


今回は「カスハラへの対応方針」として大企業の例を取り上げましたが、ハラスメント対策は、大企業に限った問題ではなく、中小企業においても重要な課題です。  

2022年4月以降、中小企業においても職場におけるハラスメント防止措置が義務化されました。企業はハラスメントを防止するために、ハラスメント相談体制の整備などをしなければなりません。

カスハラに限らず、職場においてハラスメントの問題が発生すると、従業員が安心して働くことができなくなり、健康状態が悪化し、本来の能力の発揮が妨げられたり、仕事の生産性やモチベーションが低下し、優秀な人材の流出に繋がるおそれもあります。会社にとっては、大きな損失です。

職場のハラスメント問題でお悩みの事業主様は「みらいく」にご相談下さい。

 


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