作成日:2025/01/14
2025年4月からの育児介護休業法等の改正について

2025年4月から改正雇用保険法、改正育児介護休業法が施行され、育児関係給付のさらなる拡充等が行われます。改正のポイントについて解説します。
なお、2025年4月からは改正次世代育成支援対策推進法(次世代法)も施行されます。
次世代法の改正については、以前の
ブログをご覧ください。
目次 1. 出生後休業支援給付(新設) 2. 育児時短就業給付(新設) 3. 子の看護休暇の見直し(名称の変更/内容の拡充) 4. 所定外労働の制限(残業免除) の対象拡大 5. テレワークについての取り扱い 6. 育児休業取得状況の公表義務適用拡大 7. おわりに |
出生後休業支援給付(新設)
子の出生直後の一定期間以内(男性は出生後8週間以内、女性は産後休業終了後8週間以内)において、雇用保険の被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得した場合、最大28 日間、通常の育児休業給付に「休業開始時賃金の 13%相当額」を上乗せされる
出生後休業支援給付の制度が開始されます。
今までの育児休業給付金(休業開始時賃金の67%)と合わせると給付率は80%となり、最大で最初の4週間について休業前の手取りの約100%相当になります。なお、配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付率を引き上げます。
図1 育児休業給付の給付イメージ(※1)
育児時短就業給付(新設)
雇用保険の被保険者が2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付が新設されます。時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給する制度です。
図2 育児時短就業給付イメージ(※1)
子の看護休暇について、対象となる子の範囲が、未就学児から「小学校3年生修了まで」に拡大されます。また、取得事由について、従来の@病気・けがA予防接種・健康診断に加えて、B感染症に伴う学級閉鎖等 C入園(入学)式、卒園式が追加されます。それに伴い、名称が「子の看護等休暇」に変更となります。
また、労使協定により休暇対象から除外できる労働者として「継続雇用期間6か月未満」という要件がありましたが、これが撤廃されることとなりました。
なお、休暇取得日数は年間5日(子が2人以上の場合は10日)で、これまでと変更ありません。
表1 子の看護休暇の見直し(※2)
所定外労働の制限(残業免除) の対象拡大
残業の免除を請求可能となる労働者の範囲が、「3歳未満」から「小学校就学前」の子を養育する労働者へと拡大されます。
表2 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大(※2)
テレワークについての取り扱い
3 歳未満の育児短時間勤務制度が取りにくい業種等には、その代替措置として「テレワーク」を追加することが求められます。 ただし、短時間勤務を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合にのみ、労使協定を締結し除外規定を設けた上で、代替措置を講ずることとなります。
表3 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加(※2)
また、3歳未満の子を養育する労働者が、育児のためにテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主の努力義務となります。
育児休業取得状況の公表義務適用拡大
現在、従業員数1,000人超の企業を対象に義務付けられている育児休業の取得状況の公表が、従業員数300人超の企業に拡大されます。
表4 育児休業取得状況の公表義務適用拡大(※2)
公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。
年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど、一般の方が閲覧できる方法で公表する必要があります。
若年層の採用においては、育児休業の取得状況に着目する者も多くいます。自社の状況を把握・分析し、両立支援の実績をPRすることは人材採用の観点からも重要となるでしょう。
今回は、本年4月からの育児介護休業法等の改正の概要をご紹介しました。この法改正に伴い、現行の就業規則の見直し等が必要となる会社様も多いのではないでしょうか。私たち「みらいく」では、最新の法改正に対応した就業規則の見直しのご提案を行っています。法改正への対応、仕事と育児の両立支援等に関してお悩みの事業主様は、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。