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作成日:2026/03/13
「休みを増やしたのに若手が辞めるのはなぜか?」厚労省の最新調査とYouTubeの『本音』から探る、中小企業の労務管理の正解


「うちは残業も減らしたし、休みも増やした。これで従業員満足度も上がるはずだ」
そう思っていたのに、なぜか若手が辞めていく...。そんな経験はありませんか?
働き方改革が進む今、現場では経営者の意図とは裏腹な「ある感情」が渦巻いています。日々、多くの中小企業のご支援をする中で、「働き方改革」に関するご相談が絶えません。「残業を減らせと言っても現場が納得しない」「休みを増やしたのにモチベーションが上がらない」といったお悩みです。実は今、政府の調査結果やネット上の声から、労働者の「本音」が浮き彫りになっています。
「御社の従業員も、口には出さないけれど、同じことを思っているかもしれません」 今回は、2026年3月に公表された厚労省の最新データと、そこには表れない「生の声」を元に、中小企業が今取り組むべき労務管理の正解を探っていきましょう。

 
厚労省調査からわかること

厚生労働省から、2026年3月5日に「働き方改革関連法施行後5年の総点検」が公表されました。働き方改革関連法(時間外労働の上限規制などを定めた法律)が施行されて5年が経過したことを受けて、厚労省が「実際に働き方はどう変わったのか?」「労働者・企業は何を求めているのか?」を「数字(アンケート)」と「生の声(ヒアリング)」の両面から把握するために行ったものです。
【調査の概要】
アンケート調査:モニター調査会社に登録している労働者3,000人を対象に、令和7年(2025年)10月に実施。労働時間の増減希望、残業の許容範囲などを回答。
ヒアリング調査:全国の都道府県労働局が令和7年10月〜12月にかけて、企業327社・労働者97人に直接話を聞く形で実施。上限規制への対応状況や課題を「生の声」として収集。

◆アンケート調査結果
まず、労働者3,000人へのアンケート調査から見ていきましょう。
 
 Q. 現在の労働時間をどのようにしたいですか?
  • このままで良い59.5%
  • 減らしたい:30.0%
  • 増やしたい:10.5%
メディアでは「働き方改革で残業減!」と叫ばれますが、実は約6割の労働者は「今の労働時間でいい」と考えているのです。「もっと働きたい(増やしたい)」人は約1割にとどまりました。
 
Q. 月80時間超(過労死ライン相当)の残業をしてでも働きたいですか?
 
  YES:わずか0.5%
 
「稼ぎたいから限界まで働かせろ!」というモーレツ社員は、もはや絶滅危惧種です。昭和の価値観を前提に労務管理を考えている経営者は、この現実を直視する必要があります。
 
Q. 1か月あたりの時間外労働は何時間程度が妥当だと考えますか?
  • 0〜45時間以内:約93%
  • 45時間超:約7%
圧倒的多数が「月45時間以内」を妥当としており、現行の上限規制と労働者の感覚はほぼ一致しています。
 
🌱 中小企業経営者が注目すべき「増やしたい10.5%」の正体
「労働時間を増やしたい」と答えた10.5%の人たち。ここを深掘りすると、ある傾向が見えてきます。
その内訳を見ると、約6割(約6.1%)が所定労働時間週35時間以下の短時間労働者です。さらにその中の約3.4%は年収200万円未満の層でした。つまり、「仕事が大好きだからもっと働きたい」のではなく、「そもそも労働時間が短い・収入が少ないから、もう少し働いて稼ぎたい」という切実な経済的理由が背景にある可能性が高いのです。

Q. 労働時間を増やしたい理由は何ですか?(複数回答)
  • たくさん稼ぎたい / 残業代がないと家計が厳しい:約57%
  • 自分のペースで仕事をしたい:約20%
  • 業務を通じて知識・スキルを高めたい:約7%
  • 仕事の完成度や業績をより高めたい:約10%
「スキル向上」や「やりがい」ではなく、経済的理由が圧倒的多数です。
 
◆ヒアリング調査結果
次に、企業327社へのヒアリング調査を見てみましょう。

 【企業編】
Q. 現状の労働時間に対する企業としての希望は?
  • 現状のまま:61.5%(201社)
  • 減らしたい:22.3%(73社)
  • 増やしたい:16.2%(53社)
【減らしたい企業(73社)の理由】
  • 人材確保・定着:22社
  • 労働者の健康確保・ワークライフバランス:18社
  • 人件費抑制:9社
採用難の時代、長時間労働が嫌われることを経営者は理解しているようです。
 
【増やしたい企業(53社)の理由】
  • 業務の性質(納期など):29社
  • 受注の確保:9社
  • 労働者の希望:9社
  • 人手不足:7社
建設業や運輸業では「増やしたい」企業が多く、人手不足と納期の板挟みになっている実態が透けて見えます。
 
【企業からの生の声(ヒアリングより)】
  • 「労働者の健康を考えると上限まで増やしたいとは思わない」
  • 「残業時間を増やすと人材の採用や定着が難しくなる」
  • 「歩合制のトラックドライバー等から労働時間を増やしたいとの希望がある一方で、労働者が長時間労働を望まないとの声がある」

【労働者編】
企業を通じて実施された労働者(97人)へのヒアリング調査でも、アンケート調査とほぼ同じ傾向が見られました。
 
Q. 労働時間の希望とその理由は? 
  • 現状のままがいい(70人):仕事量、収入、プライベートとのバランスに不満がない
  • 減らしたい(14人):ワークライフバランス重視、プライベート時間の確保
  • 増やしたい(13人):もっと稼ぎたい(子育て中など)、業務量との兼ね合い、技術向上
以上が、厚労省が実施した「アンケート調査」と「ヒアリング調査」の主な結果です。公式調査からは、「稼ぎたい層」と「減らしたい層」の分断や、企業側の葛藤が垣間見えます。

YouTubeのコメント欄が教えてくれる―公式調査に出てこない本音

さて、ここまで厚労省の調査結果を見てきました。アンケート3,000人、ヒアリング424者(企業327社・労働者97人)という大規模調査ですが、それでも「個人の感情」や「言いにくい本音」まではなかなか表に出てきません。特に労働者ヒアリングは「企業の協力を得て実施」されているため、会社に遠慮した発言になりやすい構造です。
そこで注目したいのが、この調査結果を報じたANNnewsCHのYouTube(※)に寄せられた「コメント欄」です。企業や調査機関を介さない完全匿名の場だからこそ、従業員が会社の面談では絶対に言わない率直な本音がそこには溢れています。
ヒアリング調査では控えめに語られていた不満が、ここでは遠慮なく噴出しています。以下、実際に多くの共感を集めたコメントをご紹介しましょう。
💬 voice1:「時間」ではなく「手取り」の問題
  • 「税金減らしませんか?一所懸命働いて全部税金持っていかれる」(👍27)
  • 「仕事増やしたら責任と税金が倍になって襲いかかってくるから減らしたいに決まってんだろ」(👍19)
最も共感を集めていたのは、「働いても税金で取られる」という徒労感です。「頑張れば報われる」という実感が持てない中で、労働時間を増やすことへの拒否反応が強くなっています。
 
💬 voice2:業務効率化への不信感
  • 「仕事効率化したら仕事が逆に増えるのなんでなん」(👍13)
  • 「会社が労働時間増やしても残業代つけないようにしかやらねえもん」(👍10)
これは耳が痛い経営者様も多いのではないでしょうか。「効率化して早く帰ろう」と号令をかけても、現場は「早く終わらせたら、新しい仕事を詰め込まれるだけ」「どうせ残業代が減るだけ」と冷めている可能性があります。
 
💬 voice3:切実な「生活給」としての残業代
  • 「労働時間なんて減らす方向でいいから、賃金を上げてくれ」(👍2)
  • 「ある程度なら増えても良いのよ、払う物を払ってくれたら」(👍7)
「時間は減らしたいけど、給料が減るのは困る」。これが多くの労働者の偽らざる本音です。働き方改革で残業を規制した結果、「残業代がなくなり生活できない」といって離職するケースが後を絶たないのは、このためです。
 
いかがでしょうか。「この声、あなたの会社の従業員も心の中で思っていませんか?」
 

中小企業が今すぐ確認すべき3つのリスク

これらのデータと生の声を踏まえると、中小企業には今、3つの大きなリスクを抱えていることがわかります。
 
⚠ リスク1:残業代未払いによる「労基法違反」リスク
コメントにも「それよりも労基法を守れ(👍22)」という声がありました。従業員は、会社が法律を守っているか厳しく見ています。
特に、「固定残業代だからいくら働かせてもいい」という誤解や、「着替え時間は労働時間ではない」といった運用は致命的です。未払い残業代は、退職後に請求されるケースが急増しています。
 
⚠ リスク2:「効率化=業務増」によるモチベーション低下
生産性を上げた優秀な社員に、ペナルティのように追加業務を与えていませんか?
「真面目な人がバカを見る社会(👍6)」というコメントの通り、頑張った人が損をする評価制度になっていると、エース級の人材から抜けていきます。
 
⚠ リスク3:「生活残業」依存者の離職リスク
基本給が低く、残業代ありきで生計を立てている従業員にとって、会社の「残業削減」は「給与カット」と同義です。
何の手当てもなしに労働時間だけを削ると、「稼げない会社」と見限られ、皮肉にも「残業が多い同業他社」へ転職されてしまう恐れがあります。
 
採用・定着に直結|今日からできる実践アクション5選

では、私たちはどうすればいいのでしょうか。従業員の不満を解消し、定着率を高めるための具体的なアクションを5つ提案します。
 
1. 残業代の計算・支払いを今一度点検する
まずは基本中の基本、「働いた分は払う」を徹底しましょう。1分単位での計算、休憩時間の適正な管理など、クリーンな労務管理こそが最大の信頼回復策です。「払う物を払ってくれたら(👍7)」という声に応えるのです。
 
2. 業務量と人員のバランスを見直す
「人雇うより今いる人員に残業させた方が安い」という考えは捨てましょう。今は採用難の時代。既存社員が疲弊して辞めてしまえば、その穴埋めにかかる採用コスト・教育コストは、残業代の比ではありません。
 
3. フレックスタイム制・変形労働時間制の検討
「1日6時間 週3勤務がいい(👍11)」という極端な希望は叶えられなくても、柔軟な働き方は用意できます。
例えば、忙しい時期は頑張り、暇な時期は早く帰る「変形労働時間制」や、出退勤時間を自由に選べる「フレックスタイム制」の導入は、従業員の満足度を大きく向上させます。
 
4. 1on1ミーティングで「本音」を聞く機会をつくる
「残業を減らしたいですか?それとも稼ぎたいですか?」
この問いを、評価面談とは別の場でフラットに聞いてみてください。一律に「残業禁止!」とするのではなく、個々の事情(介護、育児、ローンの有無など)に寄り添う姿勢が大切です。
 
5. 就業規則の見直しと周知
ルールが曖昧だと不信感が生まれます。副業の解禁や、資格取得支援など、会社として従業員のキャリアや生活を応援する姿勢を就業規則に盛り込み、それをしっかりと説明(周知)しましょう。
 
まとめ

今回の調査とコメントから「労働者が増やしたいのは『時間』ではなく『給料』である」という、極めてシンプルな真実です。
 「ジョブ型雇用にしなければ給料は上がらない(👍3)」という意見もありましたが、これからの日本の中小企業に求められるのは、「長く働くこと」ではなく「価値を生むこと」に対価を払う賃金制度への転換です。
 「残業代1.25倍」の割増賃金に頼る生活ではなく、所定労働時間内でしっかり成果を出し、それに見合った十分な給与を持ち帰れる仕組みをつくること。これこそが、最大の「働き方改革」であり、少子化や採用難を乗り越える唯一の道ではないでしょうか。「希望がないから少子化になってる」という悲痛な叫びを、私たち経営側も重く受け止める必要があります。
 従業員の本音を知ることは怖いことかもしれません。しかし、そこから目を背けていては、強い組織は作れません。「うちは大丈夫かな?」と少しでも不安に思われた経営者様、人事担当者様。まずは現状の労務診断から始めてみませんか?
 労務管理・就業規則の見直しなど、貴社の実情に合わせた最適なプランをご提案します。みらいくまでお気軽にご相談ください。
 


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