目次 1. はじめ 2. 外食産業を支えるシニア人材 3. シニア人材を活用するメリット 4. シニア人材を活用する上での課題 5. まとめ |
少子高齢化が進む日本では、労働力不足が深刻な課題となっています。特に飲食業界では人材確保が難しくなる中、シニア人材の活用が注目されています。シニアの労働力を活用する上での課題と解決策を考察します。
ハンバーガーレストランの日本マクドナルドでは、「クルー」(店舗スタッフ)の定年がなく、年齢や性別を問わず、幅広い人材を採用しています。その中で「プレミアムエイジクルー」(60代以上)と呼ばれるシニア人材も多く活躍しており、最高齢の方は、なんと90代です。
他にも、コーヒーショップや回転寿司のチェーン店等、多くの企業で、シニア人材が店舗の第一線で活躍されています。
シニア世代の方々は、これまでの人生で培ってきた様々な経験やスキルを有しています。特に、定年退職後等に「第2の人生」として就労を希望するシニア人材は、就労意欲も高いことが多いです。職場によっては、1日2〜3時間といった短時間からの就労が可能な場合もあり、ご本人の体力に応じて無理なく働いていただくことができます。
またシニア世代は、子育て等がひと段落して、比較的、時間の都合がつけやすいという方もいらっしゃいます。ご本人の都合が合えば、早朝などの特に人が集まりにくい時間帯のシフトに入っていただくことができ、店舗側としても大いに助かるでしょう。
さらに、幅広い世代の人材を活用することで、職場に多様な視点や考え方が生まれることにも繋がります。このように、シニア人材の活用には様々なメリットがあります。
一方で、もちろん個人差はあるものの、一般的にシニア人材を活用する上での課題としては、以下の点が挙げられます。
◇加齢に伴う体力や記憶力の低下
人によりますが、年齢と共に、体力や記憶力が徐々に衰えていくこともあります。それに伴い、マルチタスクが苦手になることもあるでしょう。企業側は、シニア人材の能力・経験を活かせる役割を、ある程度明確にする必要があります。また、過去の経験や古い考え方に固執せず、新しい考え方を取り入れやすくなる環境も整えると良いでしょう。
<環境整備の例>
・タスクを細かく分解して、一つの作業に集中しやすい環境を作る
・メンター制度やバディ制度を導入し、若手従業員との協力関係を後押しすることで、過去の経験を活かしながら新しい価値観を学ぶ機会を提供する
・シニア向けの研修やワークショップを開催し、シニア従業員に最新の業界動向や新しいビジネスモデルを学ぶ機会を提供する
◇ITツールへの対応
現代ではスマホが広く普及したとはいえ、シニア世代の中には「ITツールが苦手」という方もいるのではないでしょうか。業務上必要となるITツールを問題なく活用できるように、必要に応じ、研修の実施を検討すると良いでしょう。
担当していただく業務内容にもよりますが、例えば、スマートフォンやパソコンの基本操作、実務で用いるツール(例:メール、オンライン会議ツール、業務管理ソフトなど)の研修を提供することで、抵抗なくデジタルスキルを習得できます。
また、業務プロセスをシンプルに変えることも効果的でしょう。タブレット端末のボタンや文字を大きくする、操作のフローを単純にするといった取り組みも、効果が期待できます。
また、これらはシニア人材に限らず、「未経験者」や「外国人労働者」を受け入れる対策とも重なります。
◇世代間の価値観の相違
世代間の価値観の相違により、コミュニケーション上の問題が発生することもあるかもしれません。これにはチームビルディング(チームづくり、組織のパフォーマンスを向上させるための取り組み)が有効です。
<チームビルディング施策の例>
・異世代交流会の開催:若手とシニアがフランクに意見交換できる場を設ける
・バディ制度の導入:若手とシニアをペアにし、お互いの得意分野を共有し合う
・チーム同士で競い合う:若手とシニアのペア単位で目標を決めて、社内で競い合う機会を設ける
少子高齢化の進展により、労働力不足は今後も続いていくと予想されます。これからの人材確保を考えたときに、シニアに限らず、未経験者や外国人労働者など「価値観やスキルが違う者同士が働ける環境を作る」ことは、企業にとって重要な経営課題となるでしょう。
私たち「みらいく」では、多様な人材が活躍できる職場環境づくりを応援しています。人手不足やシニア人材の雇用についてお悩みの方は、是非ご相談ください。