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作成日:2024/12/02
2024年10月実態調査「フリーランス取引の状況について」の結果

目次
 1. はじめに
 2. 調査の概要 
 3. 調査項目と結果(抜粋) 
 4. おわりに

はじめに


本年11月1日から「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号、いわゆる「フリーランス新法」)が施行されました。これは、フリーランスの方と発注事業者の間の取引の適正化、フリーランスの方の就業環境の整備を行い、フリーランスの方が安心して働ける環境の整備を図ることを目的に作られた法律です。

これに先立って、10月にフリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)の結果が公表されました。これは新法の施行前に、フリーランスに係る取引状況を把握する一環として、本年5〜6月に公正取引委員会と厚生労働省が共同実施した調査です。本記事では、この調査結果から一部を抜粋して紹介します。

なお、フリーランス新法の内容について、過去のブログで紹介していますので、そちらもぜひご一読下さい。

 

調査の概要


調査期間:令和6年5月27日〜6月19日

調査主体:公正取引委員会と厚生労働省の共同実施

調査手法:WEBアンケート形式

調査対象:フリーランスとの関連があると思われる業界の事業者団体として、関係府省庁から登録された事業者団体等の会員等事業者(委託者側、フリーランス側の両方)

回答件数:5,300件(委託者:3,761件、フリーランス:1,539件)

 

調査項目と結果(抜粋)

 

フリーランス新法の内容を知っているか

フリーランス新法(以下「本法」)の内容を「知らない」または「内容はよく知らないが、名前は知っている」と回答した割合は、委託者側で54.5%、フリーランス側で76.3%でした。

 

表1 フリーランス新法の認知度(※)

 

なお、「知らない」という回答の割合が高い業種は、委託者側では、@建設業A医療、福祉B農業、林業の順に多く、フリーランス側では、@医療、福祉A建設業B学術研究、専門・技術サービス業の順に多いという結果でした。

 

 

取引条件の明示について

本法第3条では、業務委託事業者が特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、直ちに、取引条件(特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日等)を書面又は電磁的方法により明示しなければならない旨が定められています。「取引条件の明示」を「しなかったこと/されなかったことがある」と回答した割合は、委託者側で17.4%、フリーランス側で44.6%でした。

 

 表2 取引条件の明示(本法第3条関係)(※)

 

【フリーランスからの声】

 

報酬の支払期日

本法第4条では、特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に報酬の支払期日を設定し、当該期日までに報酬を支払わなければならない旨が定められています。「報酬を60日以内に支払わないこと/支払われなかったことがある」と回答した割合は、委託者側で4.8%、フリーランス側で28.1%でした。     

 

 表3 報酬の支払期日(本法第4条関係)(※)

買いたたき

本法第5条第1項第4号では、買いたたき(特定受託事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い報酬の額を不当に定めること)が禁止されています。報酬の額について「十分に協議を行わず一方的に決定されたことがある/十分に協議を行い決定されたことがない」と回答した者の割合は、委託者で22.2%、フリーランスで67.1%でした。

表4 買いたたき(本法第5条第1項第4号関係)(※)

 

【フリーランスからの声】

 

 

育児介護等と業務の両立に対する配慮/相談の有無とその対応

本法第13条では、特定受託事業者が妊娠・出産・育児・介護と業務を両立できるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならない旨が定められています。妊娠・出産・育児・介護の事情があるフリーランスと契約したことがあると回答した委託者の割合は16.9%でした。妊娠・出産・育児・介護の事情に関して、業務との両立のため、仕事の依頼者に求めたい配慮があると回答したフリーランスの割合は70.7%でした。

表5 育児介護等と業務の両立に対する配慮/相談の有無(本法第13条関係)(※)

 

【フリーランスからの声】



ハラスメント対策に関わる体制整備

本法第14条では、特定業務委託事業者は、ハラスメント行為により特定受託業務従事者の就業環境を害することのないよう相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じなければならない旨が定められています。「ハラスメント対策に関わる体制整備/方針の明確化」について「フリーランスに対するハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化していない/方針は明確化しているが社内に周知していない」と回答した委託者の割合は、51.0%でした。     

 

表6 ハラスメント対策に係る体制整備/方針の明確化(本法第14条関係)(※)

 【フリーランスからの声】

解除等の予告等

本法第16条では、特定業務委託事業者は、6か月以上の期間行う業務委託に係る契約を中途解除したり更新しない場合には、特定受託事業者に対し少なくとも30日前までにその旨を予告をしなければならない旨が定めらています。

また、予告の日から契約満了までの間に、特定受託事業者が契約の中途解除や不更新の理由の開示を請求した場合には、特定業務委託事業者は、これを開示しなければならない旨が定められています。

委託者側の都合により、契約期間が30日間以上である契約を途中で解除する場合、「契約満了日の30日前までに予告をしなかった/予告がなかった」との回答の割合は、委託者で5.1%、フリーランスで18.7%でした。

 

表7 解除等の予告等/不更新(本法第16条関係)(※)
(※)表1〜7出典:「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果

 

【フリーランスからの声】

おわりに


近年、多様な働き方の一つとしてフリーランスが注目されるようになりましたが、企業との取引においては、相対的に弱い立場に置かれることが多いという課題がありました。このような背景もあり、フリーランス新法が誕生しました。

公正取引委員会および厚生労働省では、本調査結果等も踏まえ、問題事例の多い業種を抽出し、本年度内に集中調査を実施するとしています。

フリーランスと取引している事業者の方は、フリーランス新法の内容を理解した上で、法律を遵守した対応をしていく必要があるでしょう。公正取引委員会のフリーランス法特設サイトでは、法律のポイント動画や、理解度診断などのコンテンツによって、新法への理解を深めることができます。

 

 


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