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作成日:2024/06/10
保育園落選狙いへの対応|育児休業給付の延長に関する審査の厳格化


育児休業給付の延長のために、保育園に「わざと落ちる」ことが問題になっており、今後、ハローワークによる審査の厳格化が予定されています。育休延長制度と、現時点で判明している制度改正予定の概要について紹介します。
 

育児休業給付とは

雇用保険の「雇用継続給付」の一つである「育児休業給付金」は、育児休業中の所得を保障する給付として利用されています。この「育児休業給付」が支給されるのは、原則として子が「1歳」に達するまでですが、一定の要件に該当する場合には「1歳6か月」または「2歳」に達するまで延長することができます。
この給付延長を狙って、「保育園に入所する意思がないにもかかわらず、育児休業給付の延長目的で、“落選狙い”で保育園への入所を申し込む」(簡単に言えば「わざと落ちる」)という行為が行われ、その対応による行政事務の負担が増加しています。
このような現状を踏まえ、先日、厚生労働省から「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について」が発表されました。今後、育児休業給付の延長に関する審査の厳格化が予定されています。
 

育児休業給費の延長申請の要件

育児休業給付が給付される期間は、原則として子が1歳になるまでです。しかし「子が1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合」には、1歳6か月または2歳に達する日まで延長することができます。育児休業給付の延長申請ができるタイミングは@「子が1歳に達するとき」とA「子が1歳6か月に達するとき」の2回です。
この「特に必要と認められる場合」とは、「育児休業の申出に係る子について、保育園等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」と規定されています。具体的には「保育園等に入所させるべく自治体に利用申し込みをしていたが、定員に達しており、入所できなかった」(入所保留)という状態が該当します。この場合、自治体から「入所保留通知書」が発行され、これを提出することで、延長手続きが行われます。

 
                図1 育児休業給付の延長制度の概要
(厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(育児休業給付関係)」)
 
 
これまでの問題点

保育園に入所する意思がないにもかかわらず、育児休業給付の延長目的で、「落選狙い」で保育園への入所を申し込む者がおり、その対応で、行政の事務負担が増大するという問題が発生しています。
 
【「落選狙い」が疑われる申込例】 
・遠方の保育園のみを希望する
・倍率の高い保育園のみを希望する
・希望する保育園を1つしか記載しない 等
 ※上記は一例です。
 
また、落選狙いで申し込んだにもかかわらず、意に反して入所が内定した方からは、行政への苦情も寄せられており、その苦情対応に時間を要するという問題も発生しています。
 
今後の改正予定

上記のような問題が発生したため、今後は制度の改正が行われることになりました(2025年度より施行予定)。改正後は、「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について当面その実施が行われない場合」について、「速やかな職場復帰を図るために保育園等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長(ハローワーク)が認める場合に限る」という要件が加わる予定です。
具体的には、次の内容が確認される予定です。


 ☑  利用を申し込んだ保育園等が、合理的な理由なく、自宅又は勤務先からの移動に相
当の時間を要する施設のみとなっていないこと  


 ☑  市区町村に対する保育利用の申込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示を行っていないこと

 
また、提出書類は、現行の「入所保留通知書」に加えて、申込者本人が記載する申告書と、入所申込書の写しが必要となる予定です。つまり、審査がより厳しくなるということです。
今後、保育園探しをする方は、来年度以降は、厳格な審査があることを見越して保育園探しを進めなければならないかもしれません。

 
            図2 育児休業給付の期間延長手続きの見直し
    (厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(育児休業給付関係)」)
 
おわりに

はじめに述べた通り、育休期間は「子が1歳」までが原則となっており、育休の延長は、一定の要件に該当する場合のみに行われる、例外的な措置です。しかし「育休を延長するために、保育園にわざと落ちる」という方が増えた結果、制度が改正されることになりました。改正後は、育休延長の審査がより厳しくなることが予想されます。
会社としては、制度の趣旨、原則を理解した上で、労働者に対して正しく説明し、理解してもらうことが大切です。
 


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