作成日:2025/04/21
特別休暇制度の導入状況について

今回は「特別休暇」がテーマです。法律で定められる「年次有給休暇」等の他にも、特別休暇として、企業独自の休暇を設けていることがあります。
厚生労働省の調査「令和6年就労条件総合調査」から、企業の特別休暇の有無などに関するデータを見ていきましょう。
目次 1. 就労条件総合調査とは 2. 特別休暇とは 3. 特別休暇制度の有無 4. 特別休暇の利用状況と賃金の支給状況 5. 特別休暇がある場合は就業規則等に記載する 6. おわりに |
就労条件総合調査は、主要産業における企業の労働時間制度、賃金制度等について総合的に調査し、我が国の民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として実施されています。
令和6年の就労条件総合調査の結果の概況は、昨年12月に発表されました。
調査対象は、日本標準産業分類に基づく16大産業に該当する産業で、常用労働者30人以上を雇用する民営企業のうちから、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した企業です。
特別休暇とは、週休日や法定休暇(年次有給休暇、産前・産後休暇、育児休業、介護休業、子の看護等休暇等)以外に付与される休暇で、会社の就業規則等で制度(慣行も含む)として認めている休暇をいいます。
令和6年就労条件総合調査の結果によると、特別休暇制度がある企業割合は、全体(調査産業計)では59.9%(前年55.0%)でした。
特別休暇の種類別にみると、「夏季休暇」40.0%(同 37.8%)、「病気休暇」27.9%(同 21.9%)、「リフレッシュ休暇」14.7%(同 12.9%)、「ボランティア休暇」6.5%(同 4.4%)、「教育訓練休暇」5.0%(同 3.4%)、「左記以外の1週間以上の長期の休暇」13.8%(同 14.2%)となっています。
次に、特別休暇の利用状況をみると、夏季休暇が97.6%、病気休暇は80.9%、リフレッシュ休暇は84.1%、1週間以上の長期の休暇は82.5%となりました。
また、特別休暇を取得した日の賃金を有給とするか無給とするかは、企業側が任意で定めることができますが、「全額有給」としている企業の割合は、夏季休暇で81.4%、病気休暇は44.2%、リフレッシュ休暇は89.3%、1週間以上の長期の休暇は69.5%でした。
表2 賃金の支給状況(夏季休暇)(※当該制度のある企業=100%とした場合)
特別休暇がある場合は就業規則等に記載する
常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成・届出が義務付けられています。この就業規則の中には、休暇に関する事項も記載する必要があります。
具体的には、特別休暇の名称、日数、取得の要件、特別休暇を取得した日の賃金の取り扱い(有給か無給か)などを記載します。
また、従業員を採用した際には「労働条件通知書(雇用契約書)」を交付しますが、その中にも休暇に関する事項を記載します。年次有給休暇の他に特別休暇がある場合には、あわせて記載するようにしましょう。
特別休暇は、法定のものではなく、会社が任意に定める休暇です。とはいえ、会社が「いつでも自由に内容を変更できる」というわけではありません。いい加減な運用をしてしまうと、従業員からの不満や労使トラブルにも繋がります。一定のルールに従い、運用していく必要があることに注意しましょう。
今回は特別休暇を取り上げました。従業員の採用や定着に、休暇も重要な要素の一つです。特別休暇を設けるかどうかは会社の任意であり、義務ではありませんが、従業員のモチベーション向上や、ワークライフバランスの確保に繋がる効果が期待されます。必要に応じ、特別休暇の導入を検討してみるのもよいでしょう。また、特別休暇がない場合でも、普段から有給休暇が取得しやすい環境を整えることも大切です。