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作成日:2025/04/07
介護休業制度における要介護状態の判断基準の見直しについて

もくじ
1. はじめに
2. 介護休業制度の概要
3. 今回の見直しの観点
4. 見直し後の判断基準(令和7年4月1日より施行)
5. おわりに

 

はじめに


介護休業制度は、家族の介護と仕事の両立を支援する制度です。

これまで、介護休業制度の対象となる「常時介護を必要とする状態」とは、「2週間以上にわたり常時介護が必要な場合」とされてきました。

しかし、この基準は主に高齢者の介護を念頭に設計されており、障害のある子や医療的ケアを必要とする子を抱える家庭には、適用が難しいという問題が指摘されていました。 

これを踏まえ、厚生労働省の「介護休業制度等における『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』の見直しに関する研究会」において検討が行われ、同基準の見直しが行われました(令和7年4月1日より施行)。

この記事では、介護休業制度の概要と、見直し後の判断基準について解説します。

 

 

介護休業制度の概要

 

 
◇介護休業の対象家族

介護休業の対象家族は、労働者の配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。これらの家族が「常時介護を必要とする状態」と判断された場合、最長93日間の介護休業を取得できます(最大3回に分割取得可)。

図1 対象家族の範囲

(出典:介護休業制度等における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直しに関する研究会報告書 参考資料集

 

 ◇介護休業を取得できる労働者

介護休業は、対象家族を介護する男女労働者が取得できるものですが、日々雇用される労働者と、パートやアルバイトなど期間を定めて雇用されている方で「取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに契約の期間が満了し、更新されないことが明らかな労働者」は、対象外となります。

また、労使協定を締結している場合には、入社1年未満の労働者、申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者は、対象外となります。

   

今回の見直しの観点


前出の研究会の資料によると、今回の判断基準見直しに当たっては、障害児や医療的ケア児を育てている当事者団体や、企業実務者からのヒアリングも行った上で、以下@〜Bの観点から検討が行われました。

 

@ 「子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合」であっても、要件を満たせば、介護休業等を利用できる旨を明示する。

 

A 現行の判断基準のうち、「子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合」に、解釈が難しい「文言」を特定した上で、表現の適正化を行う。

 

B 障害等による介助の必要性や障害の程度を把握するための「5領域20項目の調査」(障害児通所支援の要否の決定で勘案することとされている調査)や「障害支援区分認定調査票」との関係性を中心に、現行の判断基準では読み込みにくいケース等の整理を行う。

 

見直し後の判断基準(令和7年4月1日より施行)


見直し後の判断基準は以下の通りとなりました(赤字が変更部分)。

 

介護休業は対象家族(注1)であって2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にあるもの(障害児・者や医療的ケア時・者を介護・支援する場合を含む。ただし、乳幼児の通常の生育仮定において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まない。)を介護するための休業で、「常時介護を必要とする状態」については、以下の表を参照しつつ、判断することとなります(表1)。

 

ただし、この基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されてしまわないように、介護をしている労働者の個々の事情にあわせて、なるべく労働者が仕事と介護を両立できるよう、事業主は柔軟に運用することが望まれます。

 

「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)または(2)に該当する場合であること。

 

(1) 項目@〜Kのうち、状態について「2」が2つ以上または「3」が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

 

(2) 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。

 

 

表1 常時介護を必要とする状態に関する判断基準

(出典:介護休業制度等における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直しに関する研究会報告書


おわりに


今回は、介護休業制度における要介護状態の判断基準見直しについて解説しました。また、同じく令和7年4月1日以降は、介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認、介護に直面する前の早い段階(40歳等)時点での情報提供も事業主に義務付けられています。

ご家族の介護を行いながら仕事を続けるのは、非常に大変なことです。対象の従業員が一人で悩みを抱え込むことなく、必要な制度を利用できるよう、会社側もサポートしていくことが望まれます。

 従業員の仕事と介護の両立の問題、法改正への対応等でお悩みの事業主様は、私たち「みらいく」にお気軽にご相談下さい。

 
 


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