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作成日:2025/02/28
従業員が妊娠した時に求められる法令上の保護


                             

女性従業員が妊娠した場合、会社は母性保護のための適切な措置を取らなければなりません。法律上の必要な対応について解説します。

 

目次
 1. 妊娠中の女性労働者への対応
 2. 母健連絡カード
 3. マタニティ・ハラスメント      
 4. 保健指導等を受診する際の賃金の取り扱い   
 5. おわりに

 

 

妊娠中の女性労働者への対応


妊娠中の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた場合は、その女性労働者が、その指導を守ることができるようにするために、事業主は、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じなければなりません。

これらの措置を決定した場合には、決定後速やかに女性労働者に対してその内容を明示してください。その際は、書面による明示が望ましいでしょう。

 

◇妊娠中の通勤緩和

交通機関の混雑による苦痛は、「つわり」の悪化や、流・早産等につながるおそれがあります。医師等から通勤緩和の指導を受けた旨について、妊娠中の女性労働者から申出があった場合には、事業主は、その女性労働者がラッシュアワーの混雑を避けて通勤することができるように、通勤緩和の措置を講じなければなりません。

 

◇妊娠中の休憩に関する措置

医師等から休憩に関する措置について指導を受けた旨について、妊娠中の女性労働者から申出があった場合には、事業主はその女性労働者が適宜の休養や補食ができるよう、休憩時間を長くする、回数を増やす等、休憩に関して必要な措置を講じなければなりません。

 

◇妊娠中の症状等に対応する措置(作業の軽減、勤務時間の短縮)

立ちっぱなしの作業や、かがむことが多い作業、重量物を取り扱う作業、外勤などの連続的に歩行する作業など、妊娠前には問題なく行えた作業でも、妊娠中の女性にとっては、身体への負担が大きいことがあります。

また、つわり、妊婦貧血(軽症)、妊娠浮腫(軽症)等の症状に対応するため、例えば、1日1時間程度の勤務時間の短縮等の措置が必要になることもあります。

 

なお、作業の軽減については、会社が本人への相談なく一方的に進めると、従業員は「仕事を取り上げられた」と感じ、ハラスメント問題に発展する可能性があります。作業の軽減をする場合は、本人と十分な話し合いを行ってからがよいでしょう。

 

母健連絡カード


上記のような医師等からの指導事項の確認は、口頭でも問題ありませんが、指導事項を的確に把握するためには、厚生労働省が様式を作成している「母性健康管理指導事項連絡カード」(母健連絡カード)を利用して確認しましょう。

 

図1 母健連絡カードの使用方法
(出典:働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート

 

 【母健連絡カードの使用方法】(図1のとおり)

@妊娠中の女性労働者が健康診査等を受診します。

A主治医等が、健康診査等の結果、通勤緩和や勤務時間短縮等の措置が必要であると判断した場合「母健連絡カード」に必要な事項を記載して女性労働者に渡します。

B女性労働者は、「母健連絡カード」を事業主に提出して、措置を申し出ます。

C事業主は、「母健連絡カード」の記載事項に従い、通勤緩和や勤務時間短縮等の措置を講じます。

この母健連絡カードは出産後も使用できますので、積極的に活用しましょう。

 

 

マタニティ・ハラスメント(妊娠・出産・育児休業等ハラスメント)


マタハラ(マタニティ・ハラスメント)は「妊娠・出産・育児休業等ハラスメント」の1つです。職場において行われる、上司・同僚からの言動(妊娠・出産したことや制度の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」の就業環境が害されることをいいます。マタハラには2つの類型があります。

 

@ 制度等の利用への嫌がらせ

制度又は措置の利用に関する言動により就業環境が害されるもの

(例)

管理職A
うちの会社には産休を取るような人を置いておく余裕はないよ。
同僚B
産休を取れていいわね。私も休みたいわ〜




A 状態への嫌がらせ

 女性労働者が妊娠したこと、出産したこと等に関する言動により、就業環境が害されるもの

 (例)

上司C
妊娠する人には仕事は任せられないね。
同僚D
妊娠の時期をもうちょっと考えてくれたらよかったのに。



 

 図2 あなたの周りにありませんか?こんなマタハラ。
(出典:あかるい職場応援団 ハラスメントの類型と種類

 

 妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの防止は、平成29年の男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の改正により、全ての職場に義務付けられました。

職場におけるマタハラを防ぐため、どのような言動がマタハラに該当するのか、しないのかを、従業員に対してあらかじめ周知することが望ましいです。

厚生労働省のポータルサイト「あかるい職場応援団」の「動画で学ぶハラスメント」では、マタハラの事例の動画が公表されています。

保健指導等を受診する際の賃金の取り扱い


会社には、妊娠中の女性従業員が保健指導等を受診するための時間を確保する義務があります。会社の就業規則に定められていることも多い内容ですが、その際の「賃金の取り扱い」が定められていないケースがあります。

ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、働いていない時間に関しては、賃金を支払わないこと(無給)が基本です。しかし、あらかじめルールを定めておかないと、従業員との間で認識のズレが起こることもあります。この機会に、就業規則を確認し、賃金の取り扱いについて定めていない場合は、追記しておくとよいでしょう。

おわりに


今回は、妊娠中の従業員に対して必要な保護について取り上げました。

従業員の妊娠は大変喜ばしいことです。その一方で、事業主や会社の労務担当の方は、妊娠中の従業員への適切な対応や、その後の産休、育休に伴う手続き、規程の整備等で、迷われる場面もあるかもしれません。お困りの方は、私たち「みらいく」にご相談下さい。

 


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