今回は「休日」に関する記事です。所定休日と法定休日との違いについて留意したい点を解説します。
目次 1. 多くの企業で「何らかの週休2日制」が採用されている 2. 法定休日と所定休日 3. 時間外・休日労働協定(36協定)と法定休日 4. 法定休日における割増賃金の取扱い 5. おわりに |
昨年12月に厚生労働省が公表した「令和6年就労条件総合調査」によると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は、90.9%(前年85.4%)、「完全週休2日制」の企業割合も56.7%(前年53.3%)となりました。多くの企業で、週休2日制が定着していることが伺えます。
労働基準法第35条では、「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない」と規定しています(※)。この労働基準法が定める1週間に1日の休日は、一般的に「法定休日」と呼ばれます。
(※)例外として「4週間を通じ4日以上の休日を与える」という方法もありますが、ここでは割愛します。
先ほど統計結果をご紹介した通り、約9割の企業で「何らかの週休2日制」が採用されています。1週間に複数の休日があるとき、法定休日以外の休日を「所定休日」や「法定外休日」と呼び、法定休日とは区別されます。
業務の都合によっては、残業や休日出勤が発生することもあるでしょう。
労働時間の上限(原則1日8時間、週40時間)を超えて労働させ、または休日に労働させるには、あらかじめ使用者と労働者が労使協定を結び、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。この協定を36協定といいます。
図1 時間外労働・休日労働をさせるためには、36協定の締結が必要です。
36協定には「1箇月の法定労働時間を超える時間数」や「労働させることができる法定休日の日数」を記載することになっています。この「労働させることができる法定休日の日数」はあくまでも「法定休日」の日数であり、所定休日は含まれません。
法定労働時間を超える労働(法定時間外労働)や、法定休日に対する休日出勤(法定休日労働)をさせた際には、法律の定めにより、割増賃金を支払う必要があります。
時間外労働の割増賃金は、1日および1週間の法定労働時間を超えた時間外労働に対し、2割5分以上(ただし、1ヶ月60時間を超えるものには5割以上)で計算した額の支払いが必要です。
また、法定休日の労働に対しては、3割5分以上で計算した額の支払いが必要になります。
なお、週休2日制の場合に、いずれの休日を法定休日とするかは、特に定めはありません。法定休日を特定していない場合で、いずれの休日も労働した場合は、週の起算日から数えて後順の曜日となる労働が法定休日労働となります。
これまで紹介してきたように、所定休日と法定休日の扱いには違いがあるため、厚生労働省では法定休日をできるだけ特定することを推奨しています。
休日には、所定休日と法定休日があります。36協定における休日労働時間の上限や、割増賃金の計算等、法律上の取り扱いに違いがあるため、両者の違いを理解した上で適切に休日を管理する必要があります。
「休日」をはじめ、労働時間の管理等についてお困りのことがありましたら、私たち「みらいく」にお問い合わせください。