作成日:2025/01/27
マイナポータルを利用した離職票送付について

1月20日から、マイナポータルで新たなサービスが開始したので解説します。
目次 1. はじめに 2. 離職票とは 3. 対象要件 4. おわりに |
はじめに
雇用保険に加入している従業員が、会社等を退職した際に交付される書類に「離職票」があります。離職票は、失業中に求職者給付(基本手当など。一般的には「失業保険」と呼ばれることも多いです)を受給する際に必要となる書類です。
この離職票は、従業員が退職した後、所定の様式によって公共職業安定所(ハローワーク)に届出を行い、ハローワークでの審査が行われた後に、発行されます。
従来は事業主(または事業主の委託する社労士法人等)が退職者に離職票を送付していましたが(図1左)、2025年1月20日から、希望する離職者に対して、マイナポータルを通じてハローワークから直接送付される仕組みがスタートしました(図1右)。マイナポータルからの離職票送付を利用する場合の注意点を解説します。
図1 「離職票」等が送付されるまでの流れ(※1)
離職票とは、雇用保険の被保険者が離職した際に発行されるもので、@在籍中の賃金A出勤状況B離職理由などを証明する書類です。これら@〜Bの情報は「求職者給付の受給資格の有無確認」「在籍期間や離職理由ごとに定められた給付日数の計算」「給付額の計算」等に用いられるため、給付を受け取るために大切な書類です。
従来は、離職票が発行された後に事業所(または委託を受けた社労士法人等)が、離職者本人に離職票を送るというステップ(図1左のB)が必要でした。今後は、マイナポータルを通じて離職者本人に直接送付できる仕組み(図1右のB)を用いることで、離職票を送付するための時間的・経済的コストが軽減できると言われています。
マイナポータルによる離職票送付のサービスを利用するには、以下の条件があります。
図2 サービスの対象となる条件(※1)
◇届け出たマイナンバーが雇用保険被保険者番号と適切に紐づいていること
現在は、雇用保険の被保険者資格取得時にマイナンバーの登録を行いますので、原則としてマイナンバーと被保険者番号は紐づいているはずです。しかし、2015年のマイナンバー制度開始以前に資格取得手続きをした方や、または資格取得時にマイナンバー提出しなかった場合など、一部の方については、マイナンバーと被保険者番号が紐付いていない場合があります。
マイナンバーの登録有無は、被保険者ご本人がマイナポータルの「わたしの情報」機能で確認することができます。
図3 マイナンバーがハローワークに登録されているか確認する方法(※2)
この確認の結果、現在お勤めの事業所名と被保険者番号が表示された方は、マイナンバーが登録されています。一方、雇用保険情報が表示されない方や、表示されている事業所名称が現在お勤めのものではない場合は、マイナンバーが正常に登録されていません。
・事業所名と被保険者番号が表示されなかった方
→マイナンバーがハローワークに登録されていません。事業所を通じて「個人番号登録・変更届」をハローワークに提出してマイナンバーを登録しましょう。
・前職の事業所名が表示された方
→マイナンバーが最新の被保険者番号と紐づいていません。事業所を通じて「雇用保険被保険者資格(取得・喪失)届等(訂正・取消)願」をハローワークに提出し、前職の被保険者番号と現職の被保険者番号を統一する手続きを行いましょう。
◇(離職者ご自身)マイナポータルと雇用保険WEBサービスとの連携設定を行っていただくこと
「雇用保険WEBサービス」とは、離職票等の書類をマイナポータルから取得できるサービスです。離職票等の書類をマイナポータルから取得することを希望する方は、ご自身のマイナポータルから「雇用保険WEBサービス」との連携設定を行ってください。
図4 マイナポータルから「雇用保険WEBサービス」と連携(※2)
◇(事業主)電子申請により雇用保険の資格喪失手続きを行うこと
事業所は、雇用保険の離職手続きを電子申請で行う必要があります。
離職手続きの提出期限は、離職日の翌々日から10日以内となっているため、期限内に手続きを行いましょう。