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作成日:2024/10/31
2024年9月自民党総裁選で話題となった「解雇規制緩和」 解雇に関するルールとは

9月の自民党総裁選で「解雇規制緩和」が話題になりました。日本では諸外国に比べて解雇に関する規制が厳しめだと言われることも多いです。解雇に関するルールと解雇規制緩和をめぐる議論について解説します。

目次
 1. 解雇に関するルール  
 2. 整理解雇の4要件
 3. 「日本の解雇規制は厳しい」は本当か  
 4.  解雇規制緩和の議論
 5.  おわりに


解雇に関するルール

労働契約は、労働者と使用者の合意に基づいて成立しますが、この労働契約を使用者から一方的に終了させることを「解雇」といいます。解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではありません。使用者に比べて弱い立場に置かれることが多い労働者を保護するため、労働基準法、労働契約法などの法令によって様々な規制がされています。

<例>
・労働契約締結時に解雇事由を書面により明示しなければならない
・少なくとも 30 日前に予告しなければならない(※一定の場合を除く)
・予告しない場合は平均賃金の 30 日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない(予告の日数が30日に満たない場合は、その不足日数分の解雇予告手当)
・法令により解雇が禁止される期間がある
(業務上の負傷または疾病による療養のため休業する期間及びその後30日間、産前産後休業期間及びその後30日間など)
・法令により解雇が禁止される理由がある
(労働組合員であることを理由とした解雇、性別や妊娠出産を理由とした解雇など)
・期間の定めのない労働契約について、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当性であると認められない解雇は、その権利を濫用したものとして無効(解雇権濫用法理)
 
 
 
 
整理解雇の4要件
解雇は、@普通解雇、A懲戒解雇、B整理解雇に分類できます。このうち、@Aは社員を個々に解雇する個別解雇であり、整理解雇は一般に集団解雇となることが多いです。解雇規制緩和論の対象は、主として@普通解雇とB整理解雇です。
整理解雇とは、会社の経営状況が悪化し、人員の整理のために行う解雇をいいます。この整理解雇は、使用者側が原因で労働者が解雇されるものであるため、かなり厳格な要件が必要です。整理解雇が有効か無効かは、以下の4要件で判断されます。

  
整理解雇の4要件
 1⃣ 人員整理の必要性:人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること。
 2⃣ 解雇回避の努力:配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために十分な努力をしたこと。
 3⃣ 人選の合理性:整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること。
 4⃣ 解雇手続の妥当性:労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法などについて納得を得るために説明を行うこと。
 
「日本の解雇規制は厳しい」は本当か

解雇規制の見直し議論の背景にあるのが「日本は解雇規制が厳しすぎる」という考え方です。これは本当なのでしょうか。経済協力開発機構(OECD)が2019年、解雇の際の諸条件を国際比較した結果、日本の「正社員の解雇のしやすさ」は37カ国中11位でした。これは、解雇に関する一連の手続き(@解雇通知前の手続きA解雇通知期間及び退職金B不当解雇に関する規制C不当解雇規制の執行)について、労働者保護の程度を数値化して比較したものです。国際的にみれば、日本の解雇規制は必ずしも厳しいとはいえないようですが、アメリカやイギリスよりは厳しいようです。             図 2019年調査結果(OECD加盟各国における労働者保護の状況)
(出典:消費者庁「第3回公益通報者保護制度検討会」(2024年7月8日)会議資料
 
 
 
 
解雇規制緩和の議論

解雇規制緩和は、日本の解雇規制が諸外国に比べて厳しいとの認識に立ち、規制緩和を通じて雇用の流動化を促し、その成果として雇用増大と失業率低下を目指すことを目的としています。
従来から議論されているポイントの一つに「解雇の金銭解決」があります。裁判で「解雇無効」が認められた場合、現在の法制度では、職場復帰が原則となります。このとき、金銭による解決を可能にしようという議論が「解雇の金銭解決」です。(※「金銭解決」という名称から誤解されることがありますが、「金銭を払えば自由に解雇できる」という制度ではない点に、注意が必要です。)
その他には、「整理解雇の4要件」について見直し(緩和)を行い、リスキリングや再就職支援を行うなどの議論もありました。
 
おわりに
 
先日「解雇規制緩和」というキーワードが新聞やテレビ等で相次いで報道された際には、様々な反響がありました。今後、本当に解雇規制の緩和が行われるのかはわかりませんが、「解雇」は労働者の生活に関わる、非常に重大な問題です。今後の議論を注意深く見守っていく必要があるでしょう。
従業員を解雇する際には、法律に従って様々な角度からリスクを検討し、慎重に対応しなければ、トラブルに発展してしまうこともあります。解雇に関してお悩みの事業主様は、「みらいく」にご相談ください。
 


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