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作成日:2024/09/16
働く人の「こころの健康」を守る取り組みとは〜令和6年度厚生労働白書より〜


先日、令和6年版「厚生労働白書」が公開されました。本記事では、厚生労働白書の第1部「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」から、働く人の「こころの健康」に関する内容を抜粋してご紹介します。

 

目次
 1. 厚生労働白書とは
 2. 「こころと健康」とは何か
 3. こころの健康を取り巻く環境
 4. 働く人を取り巻くストレスの現状
 5. 働く人のこころの健康を守るための取り組み 
 6. おわりに 

厚生労働白書とは


「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、広く国民に伝えることを目的にとりまとめられています。厚生労働省のウェブサイトにある「統計情報・白書」のページからダウンロードできるほか、政府刊行物取扱書店等でも購入できます。

先日、令和6年版「厚生労働白書」が公開されました。厚生労働白書は、「第1部」と「第2部」の2部構成になっています。

その年ごとのテーマを設定している第1部では、「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」と題して、こころの健康を損ねる背景にある「ストレス要因」に着目し、幼年期から老年期までに至るライフステージに沿って、現代社会におけるストレスの多様さについて考察した上で、こころの健康に関する対策や支援の現状と、今後の方向性を提示しています。

2部では、「現下の政策課題への対応」と題し、子育て、雇用、年金、医療・介護など、厚生労働行政の各分野について、最近の施策の動きをまとめています。
                                                                                                    


「こころの健康」とは何か


厚生労働白書では、「こころの健康」(=メンタルヘルス)を、「人生のストレスに対処しながら、自らの能力を発揮し、よく学び、よく働き、コミュニティにも貢献できるような、精神的に満たされた状態」と定義しています。

こころの健康をめぐる現状には、課題も多くあります。近年、精神疾患による外来患者数は増加傾向にあり、自殺者数も年間2万人を上回り続けています。こころの健康は、年代・性別・職業などにかかわらず全ての人に関係する、社会における大切なテーマの一つです。



こころの健康を取り巻く環境


私たちは、生まれてから老いに至るまでのライフステージ全般において、様々な出来事を経験します。大きなライフイベントだけでなく、些細な日常の出来事でも、それらが重なったり続いたりすることで、体調に影響を及ぼすと考えられています。また、受け止める人によりストレスの性質が異なり、その影響も個々人により異なることがあります。

図1 現代社会におけるストレス要因(※)

                                                                                                    

 

 
本記事では、厚生労働白書「第1部」の内容から、特に「働く人」の「こころの健康」に関連する部分をご紹介します↓↓↓

働く人を取り巻くストレスの現状


「働きがい」と「働きやすさ」が実現できる職場環境は、こころの健康を高め、支える観点から重要です。一方で、職場環境の整備や雇用管理が不十分な場合には、就業が「こころの不調」をきたすストレス要因となり得ることに注意が必要です。

 

◇どのようなことでストレスを感じているか

2022(令和4)年に行われた「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活に関することで「強い不安、悩み、ストレス」を感じている労働者の割合は、82.2%でした。

ストレスの内容を年代別にみると、20歳未満から40歳代までは、「仕事の失敗、責任の発生等」が最も高く、次いで「仕事の量」となっています。

一方、50歳代は仕事の量」が最も高く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が高くなっています。



     
表1 年齢階級別にみた仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの内容別労働者割合(主なもの3つ以内)(※)

 

◇仕事の量の多さは長時間労働に繋がることも多い

仕事の量の多さは、労働時間の長さとして現れる場合も少なくありません。労働時間が長くなると、うつ病・不安障害の疑いがある人の割合が増加する傾向がみられます。

表2 一週間当たりの実労働時間別 うつ傾向・不安(就業者調査)(※)

 

           
また、労働時間が長くなるにつれ、翌日への疲労の持ち越し頻度が増加します。それに伴って、うつ病・不安障害の疑いがある人の割合が増加する傾向もあります。

                                                            表3 疲労の持ち越し頻度別 うつ傾向・不安(就業者調査)(※)


これらの結果から、長時間労働による疲労の蓄積は、こころの不調に繋がると考えられています。

 

◇労働時間が長いと睡眠時間を確保しづらい

1日の時間は有限であるため、労働時間の長さは、睡眠時間の確保にも悪い影響を与えます。2022年「国民生活基礎調査」によると、うつ傾向・不安の点数が「04点」(=うつ傾向でない)の人の割合は、睡眠時間が「7時間以上8時間未満」の場合に最も高く、睡眠時間が「5時間未満」の場合に最も低いという結果でした。

  4 睡眠時間とこころの状態(※)

 

睡眠不足により心身に不調をきたしてしまうと、欠勤や休職を余儀なくされるだけでなく、出勤はするものの、心身の不調により十分なパフォーマンスを発揮できない状態になってしまう場合もあります。睡眠時間の長さは「こころの健康」を確保する上で、重要な要素のひとつであるといえるでしょう。

                                                                                                     

 

働く人のこころの健康を守るための取り組み


近年、精神疾患による休職者の割合や、精神および行動の障害による傷病手当金の受給者は、ともに増加傾向にあります。

こころの不調は、働く人に比較的長期間の休業を余儀なくさせる場合も多いです。本人はもちろん、ご家族や職場にも様々な影響が出るかもしれません。

こころの不調は、誰もが経験する可能性があるものだと理解し、事業主として職場のメンタルヘルス対策に取り組んでいくことが必要です。

働く人のこころの健康を守るために、職場ではどのような取り組みをしたらよいのでしょうか。実際の企業における取り組みの一部を紹介します。

 

【ある企業における取り組み事例】

    


・ストレスチェック(*)を、法的な実施義務のない従業員50人未満の営業所も含め、全社的に実施している。

・産業医(精神科医)による職場巡回に合わせ、2ヶ月に1回、希望する社員は面談を受けることができる。

・従業員に「メンタルヘルス・マネジメント検定試験」の受験を勧奨し、合格者に報奨金を出している。

・長時間労働の防止、従業員のワークライフバランスの確保のため、毎日一定の時間にパソコンの電源を落とす。     


                                                                                                   

*ストレスチェックとは
ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、高ストレス者に対する医師の面接指導を実施することや、ストレスチェック結果を集団的に分析し、職場環境改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を主な目的としています。

従業員50人以上の事業場に実施義務がありますが、50人未満の事業場も、できるだけ実施することが望ましいとされています。

                                                                                               
                                   


 
事業者は、職場のストレス状況の確認を行い、高ストレス者の多い部署などについては、業務内容、労働時間、周囲からの支援の有無等を評価し、必要に応じて、職場環境の改善に繋げていく必要があります。

 

おわりに


本記事では、令和6年度「厚生労働白書」の第1部「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」から、働く人の「こころの健康」に関係する内容を抜粋して紹介しました。職場のメンタルヘルス問題でお悩みの事業主様は「みらいく」にご相談ください。

  

(※)出典:令和6年度厚生労働白書

 


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