令和6年6月5日に「こども未来戦略」を着実に実行するため、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」が成立しました。そこで、今回は「こども未来戦略」を起点として企業に関係する施策を確認していきます。
こども未来戦略とは、若者・子育て世代の所得向上と、次元の異なる少子化対策を「車の両輪」として進めるために2023年12月に閣議決定されました。現状の加速する少子化の一因となっている若い世代の方の将来展望を描けない状況や、子育てをされている方の生活や子育ての悩みを受け止め、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てできる社会、こどもたちが笑顔で暮らせる社会の実現を目指す施策です。
基本理念
〇若者・子育て世代の所得を増やす
〇社会全体の構造や意識を変える
〇すべてのこどもと子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援していく
主な施策
子育て世帯の家計を応援
出産育児一時金、児童手当拡充、児童扶養手当拡充、住宅支援、医療費等負担軽減、大学等の授業料等減免支援拡大、授業料後払い制度など
すべてのこどもと子育てを応援
伴走型相談支援、産後ケア、こども誰でも通園制度、障害児等の地域での支援強化、放課後児童クラブ拡充、こども・若者の安全・安心ない居場所づくり、ひとり親等のこどもへの学習支援など
共働き・共育てを応援
男性育休取得推進、時短給付、看護休暇、自営業・フリーランスの育児期間の年金保険料免除など
「こども未来戦略」に盛り込まれた「共働き・共育てを応援」の施策は企業にとっても関係してきます。
この施策を着実に実行するための現時点での法改正の状況を詳しくみていきます。
☆を付した施策は、「子ども・子育て支援金」を充てて実施されるものです。
子ども・子育て支援金制度の創設
支援金制度は、少子化対策に受益を有する全世代・全経済主体が子育て世帯を支える連帯の仕組みです。
【@C子ども・子育て支援法、A医療保険各法等】
@国は、「児童手当・妊婦支援給付・こども誰でも通園制度・育児時短就業給付・フリーランスの育児期間の年金保険料免除(*)」に必要な費用に充てるため、医療保険者から子ども・子育て支援納付金を徴収することとし、額の算定方法、徴収の方法、社会保険診療報酬支払基金による徴収事務等を定める。【施行日:令和7年4月1日】
A医療保険者が被保険者等から徴収する保険料に納付金の納付に要する費用(子ども・子育て支援金)を含めることとし、医療保険制度の取扱いを踏まえた被保険者等への賦課・徴収の方法、国民健康保険等における低所得者軽減措置等を定める。【施行日:令和8年4月1日】
B歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で、令和8年度から令和10年度にかけて段階的に導入し、各年度の納付金総額を定める。【施行日:令和6年10月1日】
C令和6年度から令和10年度までの各年度に限り、 (*)に必要な費用に充てるため、子ども・子育て支援特例公債を発行できること等とする。【施行日:令和6年10月1日】
(*)を子ども・子育て支援法に位置づけることに伴い、同法の目的・「子ども・子育て支援」の定義に、子どもを持つことを希望する者が安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現・環境の整備を追加し、同法の趣旨を明確化する。
男性育休を当たり前に
育児休業給付の給付率引上げ【☆】
子の出生直後の一定期間内に、両親がともに14日以上の育児休業を取得した場合には、最大28日間の給付率を現行の67%(手取りで8割相当)から 、80%(手取りで10割相当)へと引上げ。【施行日】令和7年4月1日
出典:厚労省「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」
2024年1月からは「育休中等業務代替支援コース」として、育児休業や短時間勤務の利用を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置が新設されました。
業務を代替する周囲の労働者への手当支給等を行った場合
拡充 育児児休業中の手当支給 最大 125万円※
新設 育短勤務中の手当支給 最大 110万円
代替要員を新規雇用または派遣受入で確保した場合
拡充 育児休業中の新規雇用 最大 67.5万円※
(いずれも、休業取得/制度利用者1人当たり)
※印はプラチナくるみん認定事業主への加算・割増措置あり
柔軟な働き方ができる環境へ
柔軟な働き方を実現するための措置等が事業主の義務
【育児・介護休業法および次世代育成支援対策推進法の改正 2024年5月31日公布】
【施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日】