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作成日:2024/05/24
深刻化しているカスハラへの対策とは

             

先日、厚生労働省から令和5年度の「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書が公表されました。
今回の報告書(図表7)から各種ハラスメントの多くは減少傾向にあるもののカスタマーハラスメント(*)だけが増加している結果となりました。今回は社会問題化している「カスハラ」について採り上げます。

*カスタマーハラスメント(略称:カスハラ)〜顧客や取引先からの暴力や悪質なクレーム等の著しい迷惑行為のこと。

              

「職場のハラスメントに関する実態調査」の概要

 企業がカスハラの予防・解決のため実施している取組を報告書から見ていきます。


◇顧客等からの著しい迷惑行為に関する取組として実施しているもの(図表77)
1.「特にない」(55.8%)
2.「自社従業員が取引先等からハラスメント被害を受けた場合の取引先等への協力依頼」(13.9%)
3.「顧客等からの著しい迷惑行為の対応に関するマニュアルの作成、研修の実施」(13.7%)

業種別にみると、一般消費者との接触頻度が高い「医療、福祉」、「金融業、保険業」、「宿泊業、飲食サービス業」などにおいて、取組を実施している割合が他の業種より高く、「製造業」、「建設業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」などでは、取組の実施割合が他の業種より低かった。
      
 ◇顧客等からの著しい迷惑行為の予防・解決のための取組を進める上での課題(図表80)
1.特にない(32.1%)
2.迷惑行為と正当なクレームや要求とを区別する明確な判断基準を設けることが難しい(25.9%)
3.迷惑行為に対応する従業員等の精神的なケアが難しい(20.4%)

「迷惑行為に対応する従業員等の精神的なケアが難しい」については、「生活関連サービス業、娯楽業」「医療、福祉」「金融業、保険業」といった顧客との接点が多い業種において課題と感じている企業が多く、「特になし」と回答した割合が他の業種よりも低かった。


◇顧客等からの著しい迷惑行為の判定基準の策定について(図表83)
1.基準を策定していない(31.2%)
2.特にない(27.5%)
3.厚生労働省が公表しているカスタマーハラスメントマニュアル」(25.3%)



調査では、カスハラの件数が増加傾向にあるにもかかわらず対策が不十分な企業が多く、企業によっても悪影響を及ぼします。

カスハラの悪影響

カスハラは、企業とその働く従業員に以下のような悪影響が考えられます。
☐心身の健康被害: ストレス、うつ病、PTSDなどの精神疾患を引き起こす可能性があります。
□離職: カスハラが原因で退職する従業員が増加し、人材不足や戦力低下につながります。
□企業イメージの悪化: カスハラが明るみに出た場合、企業イメージが大きく損なわれ、顧客離れや取引先とのトラブルを招く可能性があります。
□生産性の低下: カスハラを受けた従業員の業務集中力が低下し、生産性が悪化する可能性があります。

カスハラは、単なる顧客とのトラブルではなく、労働問題として捉える必要があります。労働契約法に基づき、企業は労働者の安全配慮義務を負っており、カスハラから労働者を保護する必要があります。
また、近年は、パワハラ防止法や男女雇用機会均等法などの法改正により、企業のハラスメント対策に対する責任が強化されています。

カスハラ対策

厚生労働省は、カスハラ対策として企業が基本的な枠組みを構築するための準備、対応策「カスタマーハラスメント対策マニュアル」を公表していますので簡単にご紹介します。

◇ カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組み
1.事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
2.従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
3.対応方法、手順の策定
4.社内対応ルールの従業員等への教育・研修

◇カスタマーハラスメントが実際に起こった際の対応

5.事実関係の正確な確認と事案への対応
6.従業員への配慮の措置
7.再発防止のための取組
8.1〜7までの措置と併せて講ずべき措置

世間の動向と今後の展望

最近では、カスハラ対策を始めているところもあるのでご紹介します。
3月に東京メトログループ、そして4月にはJR東日本グループがカスタマーハラスメントに対する方針を発表しています。
今月22日には、東京都がカスハラ防止のための条例案を提出する方針を決めました。これは、サービス業の集まる東京で、啓発や企業の対策を後押しをする法令が必要と判断したとのことです。(出典:2024.5.24朝日新聞デジタル「東京都 全国初「カスハラ」防止条例案提出へ 提出は公的機関も」)さらに同日、岸田首相は参院予算委員会で、カスハラに関し、対策を強化するため法整備を含めて検討する方針を明らかにしています。(出典:2024.5.22 時事通信「カスハラ対策、法整備含めて検討」)このことから、今後は企業におけるカスハラ対策がより一層重要になってくるでしょう。

まとめ

カスハラは、企業にとって深刻な問題に発展します。今すぐ適切な対策を講じ、従業員をカスハラから守り、安全で快適な職場環境を実現することが重要です。
カスハラなどハラスメント対策に関するご相談は、みらいくにご相談ください。
 


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