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作成日:2024/04/22
有期労働契約の特有のルールについて知っていますか?


いわゆるパート、アルバイト等の「有期労働契約」では、雇用期間があらかじめ決まっています。しかし、この契約期間中であっても、労使双方のミスマッチなどの理由により退職となる場合もあります。有期労働契約の契約途中における「解雇」や「退職」については、法律上、いわゆる正社員とは異なるルールが定められています。パート、アルバイト等の有期労働契約によって労働者を雇い入れる場合には、このような有期労働契約に特有のルールについて、事前に理解しておいた方が安心でしょう。

 

◆有期労働契約とは?

労働契約は大きく「有期労働契約」と「無期労働契約」に分けることができます。有期労働契約とは、あらかじめ一定の雇用期間を定めて締結される労働契約です。いわゆる「パート」や「アルバイト」などは、有期労働契約にあたることが多いです。これに対し、無期労働契約とは、期間の定めのない契約です。いわゆる「正社員」は、無期労働契約にあたることが多いです。

 

◆有期労働契約に特有のルール

「労働基準法」や「労働契約法」等において、有期労働契約に関するルールが定められています。以下では、その中でも特に重要と思われるものを抜粋してご紹介します。

 

◇契約期間の長さに関するルール

不当に長期に渡り労働者を拘束することのないよう、契約期間の上限が定められています。ただし、期間の定めのないもの(無期労働契約)は除きます。

 

契約内容 契約期間
原則 3年
専門的知識等で高度のもの(※)を有する労働者がその業務に就く場合の労働契約 5年
満60 歳以上の労働者との間に締結される労働契約 5年
一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等) その期間

(※)厚生労働大臣が定める基準に該当するものに限られます。

 

◇無期転換ルール

かつて、半年や1 年の契約を何度も更新していながら、人員が不要になった時等に突然更新をストップする、いわゆる「雇い止め」が問題となりました。そのことから、2013 年4 月以降に開始した有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合については、労働者に期間の定めのない契約への転換を申し込む権利(無期転換申込権)が発生することになりました(労働者が無期転換の申込みした場合、使用者は、これを断ることができません)。

 

 

◇解雇・退職に関するルール

 

<解雇(使用者側からの契約解除)>

解雇については、労働者保護の観点から、高めのハードルが設けられています。

無期労働契約の場合、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働契約法第16条)と定められています。

一方、有期労働契約の場合、「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」(労働契約法第17条)と定められています。

この「やむを得ない事由」に該当するかどうかは、個別具体的に判断されますが、前述の「客観的に合理的、社会通念上相当」に比べて、解雇の有効性の判断はさらに厳しくなります。すなわち、「当該契約期間は雇用するという約束」があるにもかかわらず、「期間満了を待つことなく直ちに雇用を終了させざるを得ないような」特別の重大事由がある場合に限られます。例えば、相手方の重大な公序良俗違反や、契約を継続することにより生じる安全衛生上の差し迫った理由などがない限りは、ほぼ認められないと考えた方が良いでしょう。


(出典:厚生労働省パンフレット「適切な労務管理のポイント」)


<労働者からの申出による退職>
無期労働契約の場合、解約の申し入れから2週間後に労働契約が終了します。(民法627条。但し、実際には業務の引継ぎ等を考慮して、就業規則において「退職の一か月前に申し出ること」などと規定している場合が多いかもしれません。)
一方、有期労働契約の場合、原則として、契約期間中の退職ができません。契約期間がまだ残っているにもかかわらず、直ちに退職することができるのは、「やむを得ない事由」がある場合のみとなります(民法628条)。「やむを得ない事由」とは、「使用者からの賃金不払い等の重大な債務不履行」や「病気やケガより労務不能」などの重大な事由に限られます。逆に言うと「やむを得ない事由」がないと認められる場合には、使用者側は「まだ契約期間が残っているから働いてください」と退職を拒否できることになります。
なお、1 年を超える有期労働契約を締結している場合、契約期間の初日から1年が経過した後は、労働者はその使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。
 
<労使の合意による契約途中解約>
労使の合意に基づいて「◯◯、△△の事情があった場合には、いずれか一方の申し出により途中解約できる」という内容で契約を締結することは、必ずしも違法ではありません。しかし、「どんな理由でも無条件で解約できる」などの特約は、そもそも有期労働契約の趣旨に反するため認められないでしょう。また、双方の話し合いのもとで、有期契約の途中で合意解約することについては問題ありません。
 
◆おわりに
働き方の多様化等に伴い、いわゆるパート・アルバイト等の短時間・有期雇用労働者を、職場の重要な戦力として活用されている会社も多いと思います。しかし、その解雇や退職に関するルールは、いわゆる正社員とは少し異なっている部分もあります。有期労働契約に特有のルールについて、事前に理解しておくことで、退職時の従業員とのトラブルの予防にも繋がると思います。労働契約等に関する疑問やお困り事がありましたら、「みらいく」にご相談ください。
 
 


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