【令和8年度】健康保険・介護保険・雇用保険料率の改定ポイント解説
ゴールデンウィークが明け、5月の給与計算事務が本格化する時期となりました。「また今年も保険料が変わるのか……」と、毎年のように複雑化する計算に頭を悩ませている担当者の方も多いのではないでしょうか。
令和8年度(2026年度)は、近年では珍しく「雇用保険料の引き下げ」というポジティブなニュースがあります。一方で、介護保険料は引き上げとなるため、従業員の方への説明には少し工夫が必要です。今回は、実務担当者が「今月の給与計算」のポイントを、専門家の視点から分かりやすく整理して解説します。
令和8年度の改定内容まとめ(一覧表)
まずは、今年度の変更点を一目で確認できるよう、一覧表にまとめました。
保険種類令和8年度の料率
| 保険種類 | 令和8年度の料率 (一般の事業) |
前年度比 | 改定(給与適用)時期 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料率 | 都道府県により異なる (全国平均10.0%) |
据置 または 微減 | 2026年3月分〜 |
| 介護保険料率 | 1.62% | 0.03% 上昇 | 2026年3月分〜 |
| 雇用保険料率 | 13.5/1000 (1.35%) | 0.1% 低下 | 2026年4月労働分〜 |
健康保険・介護保険料率:3月分(4月納付分)からの改定
健康保険料率
協会けんぽの健康保険料率は、医療費の水準を反映して都道府県ごとに毎年見直されます。
≪都道府県別料率の具体例≫
令和8年度は、多くの支部で据え置き、または準備金の活用により微減となっています。
- 東京都:9.85%
- 大阪府:10.13%
- 静岡県:9.61%
- 愛知県:9.93%
- 佐賀県:10.55%(全国で高い水準)
- 新潟県:9.21%(全国で低い水準)
※自社の支部がどこにあるかによってコストが変わるため、必ず最新の料率表を確認しましょう。
保険料率の内訳
一般保険料率は、実は以下の2つの役割に分かれています。
- 特定保険料率(3.24%): 後期高齢者支援金など、高齢者医療を支えるためのもので、全国一律です。
- 基本保険料率(各都道府県で変動): 加入者の医療給付や保健事業(健診など)に充てられる、地域ごとの料率です。
介護保険料
40歳から64歳の従業員(第2号被保険者)が負担する介護保険料率は、昨年の1.59%から1.62%へと「引き上げ」となります。高齢化が進む中、必要な費用を現役世代で分担する仕組みとなっています。
≪実務上の計算例≫
例:東京都の場合
健康保険(9.85%)+ 介護保険(1.62%)= 11.47%
この合算した料率を給与計算ソフトに正しく反映させる必要があります。
雇用保険料率:待望の「引き下げ」
令和8年度の最大のトピックは、雇用保険料率が13.5/1000(1.35%)へ引き下げられたことです。
図:厚生労働省「令和8年度の雇用保険料」
改定のポイント
- 失業等給付・育児休業給付の引き下げ: 労働者・事業主ともに 0.5/1,000 ずつ引き下げとなります。雇用情勢の安定により弾力条項が適用されました。
- 雇用保険二事業の据え置き: 助成金の財源となる料率は、一般で3.5/1,000、建設で4.5/1,000のまま据え置きです。
5月の給与計算で特に注意すべき「切り替え時期」
「いつから新料率にするか問題」について、以下でご確認ください。
健康保険・介護保険(3月分から変更済み)
多くの企業では「前月分の保険料を当月の給与から控除」しているため、4月支払いの給与から新料率に切り替わっているはずです。5月の給与計算でも、引き続き新料率が適用されているか再確認してください。
雇用保険(4月労働分から変更)
雇用保険は、健康保険とは異なり「4月1日以降の労働に対する給与」から新料率を適用します。
- 末締め・翌月10日払いの場合:5月10日払いの給与から変更
- 当月払い(20日締め・25日払い等)の場合:4月25日払いの給与から変更
多くの企業にとって、この5月支給の給与が雇用保険の新料率適用の「初戦」となります。
実務担当者が取り組むべき3つのチェックリスト
ミスを防ぎ、従業員との信頼関係を守るために、以下の3点を確認しましょう。
✅給与計算ソフトの設定更新
健康保険は「3月分(4月控除)」、雇用保険は「4月勤務分」から反映されるようダブルチェックしてください。
✅従業員への「ポジティブな説明」
「介護保険料が上がります」とだけ伝えると不満が出がちですが、「雇用保険料が下がるので、ある程度相殺されますよ」と丁寧に説明することで、従業員の納得感が高まります。
✅40歳・65歳の到達確認
料率改定のタイミングで、新たに40歳になる方、65歳になる方の介護保険料の徴収開始・停止が漏れていないか、合わせてチェックすることをお勧めします。
おわりに
社会保険料の適正な徴収は、コンプライアンス(法令遵守)の基本です。正確な処理は、従業員からの信頼、そして会社を守ることにつながります。もし「自社の設定が本当に正しいか不安だ」「遡及計算が発生してしまったがどうすればいいか」といったお悩みがあれば、ぜひみらいくにご相談ください。複雑な労務管理を私たちがバックアップし、皆さまが本業に専念できる環境作りをサポートいたします。
【参考リンク】
- 協会けんぽ:令和8年度保険料額表
- 協会けんぽ:協会けんぽの介護保険料率について
- 厚生労働省:令和8年度雇用保険料率のご案内